いろとりどり

音楽、映画、テレビドラマなど、いろいろなことを紹介できたら、いいな。ゆったり気ままに書いていく感想ブログ。の予定。のはずが最近は目下ラジオ文字起こしブログになっている(笑)

【和訳】Taylor Swift 最新アルバム『folklore』のPrologueを翻訳してみた。

タイトルまんま(爆)

というわけで、こんにちは。姫川綾芽です。

今回は、テイラー・スウィフトの最新アルバム『folklore』のPrologueを和訳してみました!テイラーの文章を訳すのは、実は初めてだったり。ドキドキ。

いつも他の方々の素敵な和訳でテイラーの世界観を味わっていたんですが、今回のアルバムのテーマである「伝承」にちなんで、自分の言葉で伝えてみようかと思い。

久々に翻訳に挑戦してみました。こうやってちゃんと翻訳したの学生以来かも(笑)

とはいえ、まずはprologueを訳したけど、全曲訳すかどうかは、未定…(苦笑)まあ気が向いたら、ね。

今回のアルバムのテーマや構成がとても文学的なので、和訳するにあたって、なるべく文学的表現に近づけるように試みました。なので、意訳した部分も多々あります。ご了承ください。また、文章全体の構成として、基本は独白、終盤は読み手に語りかけていると感じたので、「だ・である調」と「です・ます調」に分けて翻訳しました。

完全にはテイラーの文才を伝えられなくても、私の翻訳で少しでも魅力が伝われば嬉しいです。

 

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folklore-Taylor Swift

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folklore-prologue(原文)


folklore -prologue- フォークロア ー プロローグ ー 日本語訳

 

 全てはイメージから始まった。イメージは映像となって私の心に次々と浮かび、私の好奇心を駆り立てた。

 

 傷跡に描かれた、星形のタトゥー。20年経っても尚、喪失の香りを纏っているカーディガン。海の奥底に、深く、深く、深く、沈んでいく戦艦。幼少期によく遊んだ、森の中の木製ブランコ。「一緒に逃げよう。」と囁いたものの、結局実現せずに終わってしまった。太陽がギラギラと照りつける8月は、まるでワイン1本を少しずつ飲み干すかのように、じわりじわりと過ぎ去っていった。ダンスフロアの上を漂いながら、キラキラと輝きを放つミラーボール。手招きをしながら、私を誘惑するウイスキーボトル。プラスチック製の使い捨て手袋越しに伝わる、お互いの手の感触。良くも悪くも、あなたを運命へと導く1本の糸。

 

 私の頭の中に浮かんだこれらの映像は、たちまち顔となり、名前となり、物語の登場人物として形成されていった。気がつけば、自分自身の物語だけではなく、今まで出会ったことのない人や知っている人たちのこと、または知り合わなければ良かったと思う人のことを書いたり、その人の視点から成る物語も書いたりしていた。自分の土地ではない断崖を歩きながら、「一体全体、どうしてこんなにも酷く恐ろしい過ちを犯してしまったのだろうか。」と、自問を繰り返している、追放された男。執念で破壊させた物の葬儀に現れる、人を怒らせることに長けている拷問者。謝罪の仕方をあれこれと学びながら、玄関先に立つ17歳の少年。いつまでも緑が続くニューヨークの空中庭園を、ぶらぶらと散歩しながら、恋に浮かれる若者たち。1942年、戦いのためにガダルカナル島に上陸した、私の祖父、ディーン。自分を追い出した町に対し、嬉々として復讐に燃える、はみ出し者の未亡人。

 

 民話となる物語は、代々語り継がれ、また、うわさ話として囁かれ、広がっていく。時には、民謡として歌い継がれることもある。空想と現実の狭間は霞み、真実と虚構の境界線はほとんど識別できなくなる。憶測は時の流れと共に、やがて事実となる。神話や怪談、寓話集。おとぎ話に、たとえ話。うわさ話、そして伝説。誰もが眺めるにもかかわらず、空に記された誰かの秘密。

 

 この隔離状態の中で、私の想像力は大きく膨れ上がり、想像の翼を羽ばたかせた結果、このアルバムが完成しました。意識の流れのように止めどなくあふれ出た、歌や物語をかき集め、1枚のアルバムに詰め込みました。私が手に取ったペンは、想像の世界や、歴史や、記憶の中へと続く逃げ道の、鍵となりました。私はこれまで、愛や、驚きや、気まぐれの魅力や価値が伝わるようにと願いながら、腕によりをかけて物語をお伝えしてきました。

 

ここから先、これらの物語が語り継がれるかどうかは、あなた次第。

 

 

                           テイラー・スウィフト